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2015-03-01 11:59    長財布ブランド
 呆然として、ケアルは己を指さす。 「ほんとうに鈍いかたね!」 「す……すみません」 「わたくし、あなたと離れたくなかったの。あなた以外のかたのもとへ嫁ぐなんて、嫌だったの。こうでもしなければ、お父さまが選んだかたのもとへ嫁がねばならなかったわ。そんなの、まっぴら。お父さまはわたくしの幸せのためだとおっしゃるけど、わたくしの幸せはわたくしが決めることだわ」  そこまでいっきに言い切ると、マリナは両手に顔を埋めて、堰《せき》がきれたように泣き出した。 「マ……マリナさん」  おろおろするケアルの肩を、船長がぽんとたたく。 「あとは任せたぜ」 「ま、任せたって、なにを……!」 「泣いてる女を慰めるのは、男の甲斐性《かいしょう》だ。せいぜい甲斐性のあるとこをみせてやれ」  にやりと笑ってそう言うと、船長は侍女を連れて船室を出て行ってしまった。残されたケアルはもうすっかりお手上げで、なんと声をかけていいのかわからず、ただもう黙って泣いているマリナを見つめるしかできなかった。    * * *  マリナとその侍女には、そのまま船長室が与えられることになった。コルノ船長は「俺はいいよ」のひとことで、空いていた狭い客室に移動した。  通常、密航者は船長の判断で処分できることになっており、中には密航が露見したとたん海へ放り込まれる者もいるそうだ。水夫たちにとってみれば自らの命に関わることでもあり、たとえ船長が次の寄港地までの乗船を許したとしても、密航者への風当たりはきつくなるのが当然である。  けれども、マリナが船主の娘だということもあるだろうが、彼女の密航目的が「好いた男を追いかけて」だと知られると、たちまち水夫たちの同情を買い、かれらに受け入れられてしまった。またマリナの密航を手引きした水夫もあきらかになったが、それには船長から厳重な注意がなされたのみで、なんら処分されることはなかった。  自分で言ったように、マリナは厨房《ちゅうぼう》を手伝い、十日にいちどの甲板|磨《みが》きにもドレスの裾をたくしあげて参加した。おかげでますますマリナの評判はあがり、そのぶんケアルは甲板を歩くたび、水夫たちからひかやしの言葉を投げかけられるようになった。