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男性長財 布ラ ンキ ング編集

 二発目が発射される。 「ブレイク! ボス、右へブレイクせよ!」  ミサイルは一直線にダガット機に向かい、爆発した。ダガット機は、たちまちスタイガーの視界から消え去って行った。  バスが肩を叩いた所で、スタイガーは目を覚ました。びっしょり汗を掻いていた。 「終わったよ……。暗号を解除した。目標の選択も。念のため、一発目は、レニングラードをプログラムして、遠いモスクワは二発目にした。  一ヵ所、どうしても理解できない回路があってね、ちょっと手間取ってしまった」 「あんたが、自分で設計したんじゃないのか?」 「いや、私が作った回路じゃない。後で加えられたものだ。どうしても、私の侵入を許さんのだ。君は何か聞いていないかね?」 「設計者にわからんことを尋ねられてもな。じゃあ発射は出来んのか?」 「いや、発射は可能だ。どうも、AGM‐99だけに関する何らかのデータリンクのような気がするんだが。それはともかく、さっきブレイクとか、うわ言を聞いたが、またベトナムの夢かね?」 「ああ、ラインバッカー㈵作戦の、いやな夢だった……」 「あの、ダガット中佐を戦死させた、ベトナム戦争史上、最大規模の空戦だな」 「私の責任だったんだ。あの時、功を焦って加速をかけてしまった。もっと中佐と距離を保って置くべきだったのに……」  第二エレメントが、パイロットひとりの脱出を確認したが、中佐かどうかは不明だった。直ちに、ウボン基地から、コンバット・レスキューチームが出動した。  スタイガーは戦闘が一段落した所で、ダガットの行方を探すつもりでいたが、燃料が基地への帰投距離ギリギリのビンゴに達しつつあった。ひとまず、空中給油のポイントまで後退することにしたが、途中、ダガット機の後部|火器管制官《WSO》のジェームス・ロード大尉の無事と、ダガット中佐が、敵地上軍の集落付近に降下したらしいことを知らせる通信をキャッチした。  スタイガーは即座に、基地へ新たな爆撃部隊の出撃を要請すると共に、自らも給油を断念し、一目散に基地へと引き返すと、今しも離陸しようとしていたF‐105Dの前方に立ち塞がり、パイロットを強引に引きずり降ろして飛び乗った。
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